本当に真摯な人
【FROM:院長・歯科医師 長谷川】
先日、ある二人のスタッフの間でちょっとした議論が起こっていました。
一人の歯科医師は、一方の歯科医師の仕事ぶりに前から疑問に思うことがあった様子。
それについて直接本人に自分の意見をいいました。
相手の歯科医師はもちろん真面目に仕事をしているので、心外に思うところはあったようですが、自分の意見を述べていました。
同じ医院で歯科医師として働いていても、日々お互いに診療をしていて、医院から各自個別に課されているタスクもあります。
だからお互いの仕事内容を詳しく把握しているわけではありません。
一見すると、トラブル・揉めごとが起こった!となりそうですが、私はこの話を聞いたときに、「こういう議論をするのはとても良いことだな」と思いました。
たとえば
「仕事の基準が低い」
「仕事のやり方が違うだろう」
そういう意見を言う時は、その時に一時的にお互い気分が悪くなったとしても、非常に良い議論だと思うからです。
たとえば今回の歯科医師同士のように、相手の仕事ぶりに疑問があったり、納得がいかないとき。
意見を言わず、黙っていた方がお互いの関係も悪化せずストレスを感じることもないでしょう。
しかし、黙っていたらどうなるでしょうか?お互いの仕事の基準は必ず下がっていくのではないでしょうか。
人間は基本的に怠け者なので、何もしなければ基準は下がっていきます。
仕事の基準が下がった結果、困るのが患者さんであっては目も当てられません。
さらには医院や他の仲間にも迷惑をかけることもあるでしょう。
自分の意見を言うことは、時に衝突を生み、不快な思いをすることがあります。
しかし自分の意見を言わず、黙っていて問題を放置したり、揉めないように相手の都合に合わせる事・・・これは「事なかれ主義」です。
意見を言い合うことは、長期的に見れば、仕事を見直すきっかけにもなったり、基準を上げるきっかけになるので、とても良い効果があると思います。
また人に意見を言うからには、自分もそれ相応のことができてなければなりません。
自分を律する意味でも効果があります。
互いにプロとして真剣に仕事に向きあっていれば、真摯に意見を伝え、真摯に相手の意見を受け入れることが大切だと思います。
誰だって、自ら揉め事を起こしたいとは思いません。
人間関係が崩れるような事はしたくありません。
ネガティブな事や注意など、上司部下の関係であればフィードバックとして言いやすいところもあります。
しかし、相手が同僚だったら?上司だったら?別部署の部下だったら?ちょっと言いにくいと思います。
それが普通の人間だと思います。
しかし、職場の仲間は「仲良しお友達グループ」ではありません。
患者様に質の高い治療を提供するプロのグループでなければなりません。
切磋琢磨して、お互いを高め合う関係こそが最高の関係だと言えます。
そしてお互いを高め合うためには、時に、相手に対して厳しい事を言って緊迫した議論をすることも必要です。
真剣だからこそ意見が出るのです。
「真摯さ」とは何でしょうか?
今回のケースで言えば、仕事に対する真剣さ、真剣に向き合うこと。などと言えるでしょう。
あるいは、患者様に対しての真剣さ、患者様に提供する治療への真剣さ、などと言えるでしょうか。
「誠実である」と「真摯である」というのは似ているようで異なります。
「誠実さ」は真心を持って、嘘偽りなく物事にあたることを言います。
「真摯さ」には、真面目で一生懸命、ひたむきさをもって物事に当たることを言います。
自分が問題だと思っている事を、黙っていて見過ごすのは真摯な態度ではない、と言えます。
あなたも黙って見過ごしてることはないでしょうか?
この二人の言動は、非常に良い教訓になりました。
共に、「真摯に」仕事に向き合っていきましょう。