昔に比べ、今はたくさんの歯科医院があります。ですからもし今の医院で働いていて満足できないことがあったら、別の医院に転職してしまうのもひとつの方法です。しかし転職先選びを失敗すると、何度も転職を繰り返してしまうはめになることも。
今回は歯科医として転職する際に気を付けておきたいポイントをまとめてみました。転職を考えている歯科医の方は、ぜひ参考にしてください。
自分がしたい治療ができるか
歯科医院によって、訪れる患者が違います。例えば住宅街にある歯科医院には子どもが多く来院しますし、駅近の歯科医院には会社帰りのサラリーマンが多く来院します。少し地方になると、年配の方の治療が主になるでしょう。
もちろん、訪れる患者によって歯科医院がメインで行う治療も異なってきます。本当は義歯の治療が得意なのに、義歯を使う治療ができない…なんてこともあります。
さらに、自費診療が多いのか、保険診療が多いのかによっても、メインの治療が異なります。転職先を決める際には、その歯科医院で自分がしたい治療、自分が理想とする働き方ができるかどうかは必ず確認すべき点です。
ライフプランに合っているか
仕事も大切ですが、それ以上に大切にしなければいけないのは「自分の人生をどう生きるか」というライフプランです。バリバリ仕事したいという場合は忙しい転職先を選べばいいですが、家庭を大事にしたいと考えている方は忙しい歯科医院ではストレスばかりが溜まってしまうでしょう。
特に育児中の方はライフプランを基に転職先を考えなければいけません。中には17時ごろに勤務を終え、そこから保育園に子どもを迎えにいき、夜は寝かしつけまで行うといった働き方をしている方もいます。
17時までの勤務は時短勤務扱いになってしまうことが多いので、それを許容してくれる環境かどうかも見極めなければいけません。
家計の面で見ても時短勤務は通常の勤務よりも給料が安くなってしまうので、そういった意味でも働き方というものは重視しなければいけないポイントです。勤務時間、休暇、給与、これが自分の理想とする生活に当てはまるかどうか、しっかり考えてみてください。
知識や技術が身に付くか
歯科医師としてキャリアを積みたいのであれば、知識や技術の習得が必須です。一般の歯科医院で勤務していると、難しい症例に当たること自体が少ないでしょう。
多数の症例を見て勉強したいという方は、地域の歯科医院ではなく、大学病院などのほうが向いているかもしれません。
また、一般の歯科医院でも臨床向けの勉強会への参加を推奨しているところとしていないところがあります。勉強会にかかる費用も歯科医院が持ってくれる場合もありますし、さまざまです。
勉強会にもよりますが、高額なコースだと何十万円もかかることもありますし、自費では難しいことも。積極的に勉強して歯科医師としての実力をつけたいのであれば、その歯科医院で学べることと、支援制度の有無もチェックしておきましょう。
福利厚生は充実しているか
アルバイト雇用と正規雇用の違いのひとつに、健康保険や雇用保険といった保険に入ることができるということが挙げられます。この保険制度を利用すれば、産休・育休制度など法律で決められた助成を受けることができます。
しかし個人の小さな歯科医院などでは、助成制度があいまいになってしまっていることも。女性医師が育休を取りづらく、職場に復帰できなくなってしまった…というケースもあります。福利厚生についての考え方は、最もクリニックの特徴が出やすい部分でもあります。
転職先を決める際には、ホームページや求人情報で分らないことは直接医院に質問し、自分が求めている福利厚生が機能しているかどうか確かめましょう。
理想とする歯科医師がいるか
新設の商業施設に併設されている歯科医院などは、新卒歯科医師でも月額50万円以上の給料が提示されていたりします。
これはとても魅力的な条件だと思いますが、こういった新設の歯科医院ではしっかりとした先輩や指導者がいないのも現実です。
自分が歯科医師として理想とする先輩がいるかどうかは、その後のキャリア形成に大きく関わってきます。目先の条件だけではなく、数年後、数十年後の理想像を踏まえた上で、見極める必要があります。
まとめ
歯科医師として転職する際は、「自分が何を重視するか」という点を明確にしておかなければいけません。
歯科医院はたくさんありますが、それだけに特色もさまざま。自分が理想とする医院を見つけるためには、しっかり下調べをする必要があります。転職先を探すことは、「自分が何のために歯科医師になったのか」を今一度考え直す機会でもあります。焦らずじっくりと自分の心と向き合って、良い医院を見つけてくださいね。