責任のベクトル
【FROM:院長・歯科医師 長谷川】
先日、入社5年目の歯科衛生士が、
「歯周病学会の認定歯科衛生士の資格を取得したい」
と相談に来てくれた。
彼女にどうして認定歯科衛生士の資格を取りたいと思ったのか聞いてみたら、
「診療をしていてまだまだ自分の施術に自信がないところがある。資格を取る勉強をすることで苦手なところをしっかりと克服したい」
とのこと。
「自分の弱みに向き合う」
これは多くの人が避けたり、先延ばしにしてしまうこと。
自分の強みを活かすことは、もちろん、大切ではある。
しかし、弱みから目を背けると、一定のところで成長は止まってしまう。
最近、
「自分の強みを活かしなさい」
「好きなことだけを仕事にする」
みたいなフレーズをテレビや雑誌で良く目にするけど、あれは視聴率を稼いだり、販売部数を増やすために書かれているだけで、現実には一箇所だけ卓越していれば他が全てが許されるかというとそんな事はない。
優秀な歯科医師・歯科衛生士になるには卓越した領域が必要だけど、それ以外の領域でも「平均かそれ以上」にならないといけない。
とんでもない美味い料理を提供してくれる料亭でも、店は汚い、接客は最悪、値段はとんでもなく高額、だったら次からは行かなくなるはず。
自分が最高である分野以外でも、せめて、人並みの仕事をできるようにならないといけない。
強みにフォーカスすることはとても大事だけど、それを言い訳に、弱みから目をそらしていると、一定ラインから歯科医師・歯科衛生士として成長しなくなる。
スタッフと話していると、成長する人としない人の差は実はハッキリしている。
それは、
「責任のベクトルが自分なのか、他人なのか」
というところ。
成長する人は、何が起きても「自分の責任だ」と考えて、自分の行動を変えようといつも考えている。
一方で、成長しない人は、何かが起きたときに大抵は他人のせいにしてる。
当たり前だけど、これだといつまで経っても成長しない。
多くの人が自分の弱みに向き合うのを避けたいから、問題や原因を自分以外のところの責任にしてしまう。
でも、現実には、問題も原因も自分の中にしかない。
大切なのは、自分の弱みを認めて、受け入れて、そこから逃げずに対峙し続けること。
もしかしたら、いくら努力をしても弱みを完全に克服することはできないかもしれない。
だけど、自分の弱さに対峙し続けて、いかに弱みの影響を減らすかという事を考え続けないといけない。
そしてできることなら、自分の弱みを人並みかそれ以上くらいまで持っていけるようにしよう。
そうすれば、医療従事者として卓越したプロフェッショナルになることができる。
彼女のこれからがとても楽しみです。